効かない点滴、迫りくる陣痛
できる限り点滴を早く落としてください。
私にできる最大限のお願いでした。早く張り止めの効果が出ればこの子たちをまだお腹の中に居させられるかもしれない。そんな想いでいっぱいでした。
ちょうどそんな時、大丈夫か?と幼なじみがメッセージをくれました。
彼女の友だちにも切迫早産した方がいらっしゃったようで、どんな様子だったかやどんな体勢がよかったなど事細かく教えてくれました。
👩私『まだ28週目なんや。まだ出てきてもらっても困るのにどうしよう。』
👩🦳幼なじみ『怖いよな。心配やと思う。でもきっと今の時代早く生まれても医療が進んでるからきっと大丈夫や。』
その言葉にとても勇気をもらいました。
張り止めの効果は全く感じません。何度も看護師さんがきてエコーを当ててくれますが、看護師さんの険しい表情が全てを物語っていました。
看護師さんの一人は完全に私についてくれ状況を細かく担当医に伝えてくれていました。
そして担当医も忙しい中、何度も様子を見にきてくれてこの二人にとても安心させてもらいました。
陣痛に近い痛みを感じるようになり、お腹はますますカチカチに。
あかん、まだ夫さんも仕事中やのに。でも、もうホンマにこれは覚悟せなあかんかも。
そう思えば思うほど、息も上がってきていました。
そう気持ちが決まった時、
👩私『ごめん、もたへんかったわ。たぶんもうすぐ出産になると思う。』
そう夫さんにメッセージを送りました。
2020年11月11日、担当医のつぶやき
1番の心拍は下がったり、戻ったりを繰り返していました。
しかし、その感覚も短くなってきて再び担当医が来てくれた時、
👱♂️担当医「今日はね、予定分娩も多くて…。できたら今日は頑張って欲しいけど…。」
と、めちゃくちゃお腹に向かって言っていました。明らかに私ではなく双子を説得していました。
👩私「すみません。こんなことになって。」
👱♂️担当医「いやいや、違うんだよ。何が起こるかはわからないものだから気にしないで。」
代表して謝ると、余計に気を使わせてしまいました(笑)
奇しくも今日は2020年11月11日。
なんだかとっても見た目が良い日。運勢的にどうとかはさっぱり知りませんが、この日に出産すると決めてお産したママが何人かいらっしゃったのでしょう。
予定して産めるっていいな。その余裕が私にも欲しかったな。
そんなことを心底思いました。
「必ずみんな助けます」担当医が下した決断
再び1番の心拍が下がりました。私自身も陣痛逃しのような呼吸にならないとかなり辛い痛みに襲われ、ナースコール。すぐに看護師さんが担当医を呼びに行ってくれました。
👩⚕️看護師「1番ちゃんの心拍がドンドン下がっています!2番ちゃんも少し下がっていきています。」
ここに来て2番にまで影響が出始めていました。
ホンマに今日なんか?まだホンマにあかんのやって!お腹の双子にひたすら声をかけ続けました。
でも痛い。これはホンマに痛い。
担当医が私と双子の様子を再度診察。そして、少し申し訳なさそうに、
👱♂️担当医「お母さん、お腹の赤ちゃんがかなり苦しい状態になっています。ここで助けないといけない。」
👩私「はい…。薬ではもうどうにもならんということですよね?」
👱♂️担当医「…。お母さんのせいじゃない。この日がいいというサインだよ。ちょっと早いけどお母さんに会いたくなってる。大丈夫、みんな必ず助けます。出産しましょう。」
この言葉に覚悟は決まりました。仕方ない。出すしかないか。
幼なじみも絶えず励ましのメッセージをくれていました。
👩私『やっぱりもたへんかった。ちょっと産んでくる。』
そうメッセージを送り、手術の手続きに入りました。
さぁ手術といってもいきなりできるわけではなく、何枚もの同意書にサインが必要です。薬の副作用でか、動揺でか、見たことないくらい汚い字でサインしました。
するなら早くしてくれ、そんな気持ちでいっぱいでした。
オペ室前、夫さんとの不思議な会話
準備ができると、ベッドごと移動しました。こんな感じの作りなんやとぼんやり見ていると、あわあわしている夫さんがいました。
👩私「ごめんなさい。もたへんかった。」
👨🦱夫さん「いいよ、頑張ってとしか言いようがないけど。」
あわあわしとる。そりゃそうやわな。昨日まで来月までもたせるって言い切ってたもんな。
振り回される方もかわいそうですよね。そう思いながらも、
👩私「ぁ、書類まだサインできてないやつあるらしいで。」
👨🦱夫さん「わかりました。」
なんとも事務的な会話で別れました。
お互いにやるべきことをやる。このスタンスがこの時にさえ生かされていました。
全ては双子を守るため。この子たちの無事を願う気持ちは常に一緒でした。
空気を読まない麻酔医と、救世主の女医さん
ベッドから移された手術台の狭さに落ちる!怖い!と一人でビビっていました。
すぐに麻酔やろな、とドキドキしていたのに急かされてやってきたのは麻酔科の先生。
👴麻酔医「はい。では麻酔の説明をして、それから同意書にサインをもらっていきますね〜。今回使う麻酔ですが〜。」
👩私「??!」
なんやこの切羽詰まってる時にこの悠長な喋り方は?!
ものすごく周りがバタついている中、一人だけスローモーションがかかったような麻酔医。
元々せっかちな私。
あかん、この人は待てん。焦りすぎて話が頭に入ってきません。
👩私「先生すみません、もう少し早めに話してもらえますか?」
とんだ失礼なことを言っているのは承知ですが待てません。心拍が落ちてるんやこっちは。
👴麻酔医「ん〜。そうだね〜。」
リズムが合わないことにイライラし始めた時、
👩🦱女医「今、胎児の心拍が急激に落ちてかなり危険な状況です。説明は簡潔に。言質が取れたらサインは旦那さんにお願いします。」
と、ものすごい勢いで産科の女医さんが来てくれました。女神さま降臨!
めちゃくちゃ怖いと噂を聞いていた先生ですが、私にはどんなにありがたい存在だったか。
まだゴニョゴニョと麻酔医は何やら言っていましたが、準備が整いました。
帝王切開の痛いポイントランキングで必ず入ってくる脊髄麻酔でしたが、痛いと思っている余裕もなく完了。
👱♂️担当医「では、始めますね…。」
と、言って手術が始まると思った瞬間、
ガッシャーーーーン!!!
と、ものすごい音が響き渡りました。
看護師さんが術具を落とした音。なんでなんや…。怖さが倍増していきました。
周りは冷静ですぐに手術は再開されましたが、私の動揺がピークに達したことは言うまでもありません。
ふぎゃっ、ふぎゃっ。ふたりの声が聞こえた
手術が始まってしばらくすると、保育器が2台と医師、看護師が何人か入ってくるのが見えました。NICUのスタッフかなと思っていると、担当が何か話しかけましたがうまく聞き取れず、
👩私「はい!」
と、とりあえず答える私(笑)え?なんやったんやろ?なんかあったんかな?と考えていたら、
👱♂️担当医「1番ちゃん出ます!おめでとうございます!」
の声が聞こえてきて、スタッフの皆さんからもおめでとうの声が聞こえました。
そして、すこし間をおいて小さくふぎゃっと泣く声が聞こえました。
こんなに早く産まれても泣いてくれるもんなんや…!と感動。
👱♂️担当医「2番ちゃんも出まーす!おめでとうございます!」
どうか、泣いてほしい!2番は私の中で爆睡しているところを叩き起こされるイメージしかなかったので申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
こちらもふぎゃっとそれなりに声を出してくれて一安心。
処置が終わると少しだけ会わせてもらいすぐに病室に移動していきました。
双子が出て行ってから、いきなりすごい吐き気と睡魔に襲われここでも麻酔医と一悶着ありましたがなんとか無事に手術を終えることができました。
これからのことは全くわからないけれど、二人の泣き声が生きていく勇気に聞こえとても心強かったです。
